スクリーン印刷の塗布膜をとにかく!厚く!印刷したい!どうする?!

今回の記事は、スクリーン印刷を使って「とにかく!厚く!」印刷したい人向け!
「3Dメッシュ」を使った特殊なスクリーン版を使って実際に印刷し、且つ具体的な測定データと合わせて、厚膜の印刷効果について一緒に見ていきましょう!
噂の「3Dメッシュ」について
スクリーン印刷では、細線印刷や薄膜印刷、穴埋め印刷など色々な印刷が可能ですが、工夫次第で厚めの塗布膜も印刷することが出来ます。
塗膜厚を稼ぐ為に、今回はメッシュ紗厚が厚いスクリーン版を用意しました。
「3Dメッシュ」という特殊なメッシュを使った版です:
3D-mesh-Type 3D | アサダメッシュ株式会社 (asadamesh-global.com)
「3Dメッシュ」は、従来の平織りとは異なり、一方の糸だけを折り曲げて加工した独自の構造を持っています。
紗厚は線径のおよそ 3倍!
平織りのおよそ1.5倍の印刷膜厚が形成可能です。


画像引用元:3D-mesh-Type 3D | アサダメッシュ株式会社 (asadamesh-global.com)
ペーストをたっぷりメッシュに充填させよう!
ですが、いくら「3Dメッシュ」を使っても、コート時にペーストが十分メッシュ内に充填されていないと、印刷は上手くいきません。
特にベタ印刷は、コート時にメッシュの「開口部」+「乳剤高さ」分の容積にペーストが十分充填されていないと、膜厚は狙い値よりもかえって薄くなってしまいます。
実際の印刷で撮影された写真を使って、検証してみましょう。
【コート:1回 充填未完】
スクレッパを使って1回コーティングした際の、ペーストの充填具合です。
所々 メッシュの糸がむき出し のままになっており、 乳剤の側面も見えている ことから、十分に充填されていないことが分かります。
【コート:3回 十分充填 改善】
こちらは3回コーティングした際の、ペーストの充填具合です。
十分にコートされ、 メッシュ糸、並びに乳剤の側面にしっかりとペーストが入っている ことが分かります。
たくさんコートすればペーストがしっかり充填出来ることは分かったのですが、印刷時に都度3回もコーティングするのは面倒ですよね。
ならばーー
【コート:1回 十分充填 ※スクレッパ加工済】
ペーストが吐出しやすいよう、スクレッパの先端部を少し加工してみました。
写真を撮って見てみると……効果絶大!
メッシュの開口部よりペーストがたっぷり押し出されていました。
測定膜厚データ
膜厚印刷結果は下記の通りです。(3D 80/80仕様での計算上ウェット厚み=120μm)
【通常スクレッパ】
・1回コート 82μm(充填未完)
・2回コート 88μm(充填未完)
・3回コート 90μm(十分充填)
※N=3の平均値
【特殊加工スクレッパ】
・1回コート 89μm(十分充填)
※N=3の平均値
印刷条件まとめ
・スクリーン版:3D 80/80 紗厚225μm 乳剤厚10μm
・クリアランス=1.3㎜
・スキージ速度=50㎜/sec、スクレッパ速度=50㎜/sec
・ペースト(銀)粘度=95pa.s(10回転)
・印圧=0.22Mpa(ゼロ点=0.12Mpa)
今回の印刷は上記条件をキープし、同じパラメータ下で行いました。
このように、3Dメッシュを使用すれば、コートの条件(回数、スクレッパ加工)を変えただけでも、膜厚は変えられる事が確認出来ました。
3D-mesh-Type 3D | アサダメッシュ株式会社 (asadamesh-global.com)
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