低印圧の印刷とは?~2スクリーン印刷における「ゼロ点」とは

はじめに
マイクロ・テックの「ゼロ点」は従来のスクリーン印刷機のものとは少し異なります。
印刷条件設定時に「ゼロ点」を確認することで、印刷結果の再現も容易になります。
この記事では「ゼロ点」について分かりやすく説明を致します。
スクリーン印刷の印圧調整を行う上での参考となれましたら幸いです。

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2種類の印圧制御法
「ゼロ点」の説明に入る前に、まずスクリーン印刷においてのスキージの印圧制御についてご説明致します。
印圧の制御方法は主に2つあります:
①ダウンストップ方式(一般的に使用されている従来方式)
②エアーバランス方式(マイクロ・テックが採用している方式)
ダウンストップ方式
①のダウンストップ方式はその名の通り、スキージの下降量を予め決め、ストッパーを使って下降点の高さを固定する方式です。
こちらの方式では、印刷中にスキージは上下動しません。よって、スキージゴムの弾力性によってスキージ圧が決定されることになります。
シンプルで分かりやすい方式かもしれませんが、ダウンストップ方式には一つの大きなデメリットがあります。それは「スキージがしなる」ことです。
押し込み量の大小によりスキージのゴムが変形するので、印圧のみならずスクリーン版へのアタック角度も不安定になってしまうのです。これでは当然、安定した印刷結果は得られません。印圧制御に技量も必要になってくるので、再現性も劣ります。
そこで、これらの問題を解決する為に、②エアーバランス方式が出てきたわけです。
エアーバランス方式
②のエアーバランス方式では、スキージの印圧をエアー圧のみで制御します。
そして、エアーバランス方式でのエアー圧の役割は2つあります:
A.スキージを下降させる(スキージ圧)
B.スキージを持ちあげる(背圧)
こちらの2つの圧力で、印圧をコントロールします。
特に上方向にエアー圧を追加する「背圧」の存在は大事です。なぜなら、「背圧」をつけることでスキージユニットの自重がキャンセルされるからです。
スキージユニットの自重による影響が無くなれば、純粋な「スキージ圧」でスキージをコントロール出来ます。制御もとても簡単で、印刷の再現性・安定性も大幅にアップします。
エアーバランス方式に不可欠な「ゼロ点」
さて、ここで「ゼロ点」の登場です。
上記の項目でエアーバランス方式では「純粋な『スキージ圧』でスキージをコントロール出来ます」とありましたが、これを実現する為に、まず「ゼロ点出し」をしなければなりません。
「ゼロ点出し」とは
「ゼロ点出し」とは:
「背圧をかけたままの状態を維持し、スキージ圧を少しずつ加え、
下降したスキージがスクリーン版を押し下げてワークに丁度触れ始めるポイントを見つける」
ことです。
即ち、
スキージ圧=背圧+版の張力
のポイント(ゼロ点)を探すのです。
「ゼロ点」の下降圧は、「実印圧ゼロ」ポイントとして記録します。
なぜ「ゼロ点」を出すと印刷が安定するのか
「実印圧ゼロ」の下降圧から圧力を上昇させれば、上げた分だけの圧力が印圧としてかかるようになります。
例えば「実印圧ゼロ」時の下降圧が「0.12MPa」の場合、圧力を上昇し「0.17MPa」にすると、実際は「0.05MPa」の印圧を加えたことになるのです。
こうすることによって、印刷可能となる適切な印圧条件で印刷をすることが出来るようになります。
無駄な印圧をかけることが無いので、スクリーン版へのダメージも軽減されます。
「印刷可能となる適切な印圧条件」は「実印圧」と呼びます。
この「実印圧」を簡単に制御出来るので、印刷の再現性・安定性の向上が期待出来るのです。
(つづく)
もっと詳しく知りたい方はこちら!
文字の説明だけでは理解が難しいと思いますので、こちらに写真付きの「ゼロ点出しの仕方」記事をのせてあります。
より具体的に作業方法を知りたい方は、こちらの記事をご参考下さい。
「スクリーン印刷とは」について知りたい方はこちら:
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